市川のアトリエ[2005]
主要用途:アトリエ+住宅(新築)
意匠設計:大成優子建築設計事務所
構造設計:A.S.Associates
施工業者:中野工務店
敷地住所:千葉県市川市
延床面積:101.38m2 (30坪)
構造規模:木造、地上2階
竣工:2005年12月
つかずはなれず

互いに美術家である若い夫婦が暮らす、住居を兼ねたアトリエである。これまで住居とアトリエを別々の場所に構えていたが、今回、天井高4m近い「大作業スペース」、おのおのの「個人創作スペース」、「寝食スペース」という3つの性格のスペースをひとつに納めることにした。これらはそれぞれ切り分けず緩やかなつながりをもち、たとえば、大作業スペースにある製作中の作品を見ながら個人創作スペースでコンピュータを動かせたり、個人創作スペースにいてもキッチンの異変には気づけるように、といった要望があった。作品や資料、本、コンピュータといった作品制作に関するモノは、あらゆるところに自由に現れ、移動される。このような自由なモノの分布と同じように、生活のアクティビティも自由に分布されるような状態が、彼らにとって自然であると考えた。そこで、キッチンや浴室などの特定用途以外の部分をすべて、大作業スペースに対するロフト空間ととらえ、少しずつ高さや面積を変えて配置し、どのロフトにいてもふたつ以上のロフトの気配を感じられるようにした。大作業スペースから一番遠いロフトも、上部を吹抜にすることでつながっている。また、個人創作スペースも閉じたものとせず、これら流動的なロフト空間のひとつとすることで、創作活動がさらに自由になることを期待している。ちなみに、この一番遠いロフトは現在、収納として使われており、モノがたくさん詰込まれているにもかかわらず開放的で、家族である猫にとって一番のお気に入りの昼寝場所だそうだ。設計者としてはうれしい使われ方である。